緑内障の種類と原因
緑内障による視神経の障害は、目の硬さである眼圧が、その人の耐えられる眼圧より上昇することによって引き起こされます。
眼圧が上昇する原因によって主に原発緑内障、発達緑内障、続発緑内障に分けられ、原発緑内障や続発緑内障はさらに開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障に分けられます。
眼圧は眼の中の水(房水)の量によって決まります。房水は、隅角という部分から、フィルターにあたる線維柱帯、出口となるシュレム管を通って眼の外に出ていきます。
房水の流れ(イメージ)
房水は毛様体(もうようたい)で作られ、そのおよそ90%が瞳孔(どうこう)を通って前房(ぜんぼう)へ向かい、隅角(ぐうかく)の線維柱帯(せんいちゅうたい)という網目(フィルター)を通り、眼の外へ出て行きます。残りの10%程度は前房から虹彩根部(こうさいこんぶ)を経て、毛様体筋、脈絡膜(みゃくらくまく)を通り、眼の外に出て行きます。
自覚症状が乏しい緑内障。気づいたときには視野が・・・
多くの緑内障は自覚症状に乏しく、失明にもつながる視野の欠けは、通常は何年にもわたり非常にゆっくりとしたペースで進んでいきます。このため、最初のうちは視野が欠けていることに気づきにくく、気がついた時には症状がかなり進んでしまっているということも珍しくありません。
緑内障の治療方法
一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。
したがって、緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないように、眼圧を下げることが基本となります。
1 )緑内障の検査
緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。定期検診などでいずれかの検査に異常があった場合、必ずもう一度眼科医の診察を受けるようにしましょう。
眼圧検査
直接、目の表面に測定器具をあてて測定する方法と目の表面に空気をあてて測定する方法があります。緑内障治療経過を確認するための重要な検査です。
眼底検査
視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し、大きくなります。緑内障発見のための必須の検査です。
視野検査
視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。
2 )点眼薬による治療
眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。具体的には、房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。
3 )外科的療法による治療
点眼薬を使っても、視野の欠損が進行する場合には、外科的治療を行います。レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し、房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」などがあります。緑内障とは、一度発症したら一生付き合っていかなくてはならない病気です。信頼できるお医者さんにかかり、根気よく治療を続けていくことが大切です。
4 )iStent(アイステント)を使用した緑内障手術について
緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)
当院では、2021年9月から白内障手術と同時にできる緑内障の新しい治療(アイステント)をスタートしました。
緑内障は眼の視神経の障害で視野が狭くなる病気です。多くの場合、眼圧が上がり、高い状態で長期間続くことが発症と進行に深く関係しています。
眼圧を左右するのは房水という眼の中を満たす液体で、眼を丸い形に保つため通常は一定ですが、何らかの原因で排出が滞ると眼圧が高まります。
そこでアイステントという金属の筒を眼の線維柱帯に挿入し、房水の流れを良くし、眼圧を下降させます。例えるなら交通渋滞する道路にバイパスを新しく作る感じです。
アイステントは0.3mmのチタン製の金属でMRI 等の検査にも支障ありません。2018年8月より、白内障手術と併用することで保険適応とされている治療です。
従来の手術に比べると圧倒的に出血が少なく、短時間ですみます。また白内障手術と同時に行えますので患者さんの身体的負担が大きく軽減できるというメリットがあります。
当院で手術を受けられた患者様は2022年3月末時点で52名おられますが、術後の経過も順調です。
興味のある方は是非ご相談ください。
費用について
緑内障手術費用(iStent(アイステント)
保険の種類 | 負担額が1割の方 | 負担額が2割の方 | 負担額が3割の方 |
---|---|---|---|
外来手術 | 約20,000円 | 約20,000円 | 約90,000円 |
入院手術 | 約34,000円 | 約59,000円 | 約98,000円 |
上記の金額に白内障手術の金額も含まれております。
緑内障は早期発見がポイント!定期的に検査を受けましょう。
現在の緑内障治療では、いったん欠けてしまった視野をもとに戻すことはできません。
すなわち緑内障の治療においては、早く発見し、早く治療を始めることがとても大切なのです。
そのため、40歳を過ぎたら、少なくとも年1回は眼圧検査、眼底検査、視野検査、隅角検査などの定期検診を受けることが薦められます。